ありえる楽考 Vol.3

ありえない を ありえる に
悲怒嫌(ひどい) を 喜楽利(きらり)に
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結果が顧客を説得する仕組みをつくる
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今回は手段としての仕組みの話です。私が2005年の12月までいた、
リクルートという会社は、情報誌という手段を使って、社会問題を
解消することを通じて、人を育成していたのだと思います

ここでいう社会問題とは、一人ひとりが問題だと思っても、他の人
も一緒に動かないと、正しい選択をしようとすると自分が損をして
しまうような状態です

たとえば
ある状況を問題だと思い、顧客にとって、高い価値を適正な価格で
提供しようという理想に燃える提供者がいたとしても、1社では、
業界の常識を変えよることは難しく、逆につぶされてしまうので、
だまって、業界の秩序に従っているしかない

という状態です

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リクルートの場合では、
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新卒の学生が就職する際に、それまでの常識だった、学生課の求人
票を見る、先輩がいたからとか、教授に勧められたからという理由
で就職するという状況

住宅を購入する際に、それまでの常識だった、いくつかの不動産業
者をまわって、提示された金額が妥当なのかどうか、判断の基準が
路線価だけという状況

その他、転職や進学、結婚、旅行、中古車などいずれも、消費者に
とって初めての経験で、自分の中に相場観や判断の基準などがない
状態です。だから、提供者側のいうことにを信じるしかないという
消費者側が不利な状況になっている

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結果が説得する仕組み
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この状況を変えるためには、常識を変え、仕組みを変える必要があ
ります。消費者に情報を提供して学習してもらい、代替案を提供し
てくれる業者に顧客はついてきてくれますという根拠を提供する必
要があります

そこでは、現状の仕組みで利益を受けている人たちからの抵抗があ
ります。今までの常識に慣れている消費者も大多数です

結局、どちらを選択するかを決めるのは消費者なので、消費者に喜
んでもらえるように、抵抗勢力との違いを結果で示し、啓蒙してゆ
くしかありません

やがて、良い結果を見て新しい方法を採用するという頻度がある値
を超えると、結果が他の人を説得するという循環に入り、古い常識
から、新しい常識に急激に変化してゆきます

この循環に入るまで地道に創意工夫をし、仕組みの改善を積み重ね
ることで、一つひとつは小さくても継続することで社会を変えうる
のです

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人才を輩出する仕組み
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抵抗勢力との一進一退の苦闘で、変化がなかなか見えない時を克服
すると

そこには、お客様に喜んでもらったという充実感があります

そして、良い仕事をしている会社を見つけ、あるいは啓蒙し、一緒
になってお客様に喜んでいただける仕組みをつくる過程で、人との
一体感があります

さらには、自分も参画して、社会を少しでも良く変えることができ
たという自負が未来に対する希望になります

自分がこの状況を変えるんだと志を明確にし、周囲に語り、共感し
てもらい、一緒に商品や仕組みをつくること

仕組みを消費者の意見を反映してさらに改善し続けることで、世の
中は変えられる。そして、この過程を通じて自分も成長し変わると
いうことに対する確信を持っている

そういう人を輩出してゆく集団を私はつくってゆきたいと思っています