対話の国オランダ これが成熟ってことですね。

今日は、安楽死を選ぶ: オランダ・「よき死」の探検家たち の著者のシャボットあかねさんにオランダの話を伺いに行きました。
なぜ、イエナプランのような教育が成り立つのかわかったような気がします。

 

シャボットあかねさんの話で印象的だったのは、オランダ人は’Time is no money’という話。
カーテンを買いに行くのに、ご主人と二人で出かけ、散々いろいろ見て、延々と話し合った挙句に買わない。
そうこうするうちに、誰かが不要になったからといって、もらうことになり、1円もかからないというオチ。
納得がいくまで、とことん時間がかかる。
オランダの通称安楽死法は、運動が始まってから決まるまで30年がかったそうです。
30年というと一世代かかっていますね。

 

妊娠中絶、売春、ドラックなど様々なことが合法になっているのは、どうせやるんだからオープンにするという考え方から。
結果的に、ヨーロッパで最も妊娠中絶が少ない国になっている。

 

安楽死法があるからといって、オランダでは簡単には死ねません
安楽死は保険が適応される医療行為で、医者にしか認められていない。
日本とは医療制度が違っていて、家庭医制度がとられている。
外国人含めて居住者は、必ず家庭医を登録しなければいけない。
専門医の診察が必要な場合、家庭医の紹介状が必要な制度なのです。

 

安楽死を頼めるのは、この家庭医になります。
ある意味、一生涯を共に歩むこの家庭医が、協力してくれない限り、安楽死を選ぶことはできないのです。
健康なうちから、将来、不治の病になったら、痴呆になったら、どうして欲しいのか何度も何度も対話を重ね、書類も作成しておく。
医師は大体2000名に一人なのだそうです。おそらく、教会や学校もこの単位くらいのコミュニティでどんな教育をするのか、どんなまちにするのか決めてゆくのでしょう。

 

オランダという国は、ヨーロッパの中で16世紀の栄光はあったものの遅れた国として時代の流れに取り残されたからこそ、古き良きコミュニティが壊れずに残っている地域があった。そこには、対話の文化が残っていて、熟慮を重ねて、不易流行が見極められて、成熟した文化度の高い国になったということが言えそうです。
売春、ドラックが合法なのは、野蛮なのではなく、そんな愚かなことはしないという国民への信頼の表れであり、大人な人々の国だということですね。

 

何でもすぐ法をつくって、規制だらけで、閉塞感に陥るよりは、このような個々人の常識・道徳心に委ねるような国になるために、まずは、地方や企業など小さい単位から始めるのが良いのではないでしょうか。