第8回 パラダイムシフト 

元旦から始まった自分の学習観のルーツを辿る試み

 クラウドファンディングに挑戦しているeboardの応援企画

残り27日。
達成まで617,000円

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前回、第7回協力と競争による共創では、一人ひとりが創意工夫をしながらチームメンバーと切磋琢磨する一方、他チームと競争では協力しあって共創する仕組みについて書きました。今回はこの時学んだもうひとつの教訓について書きます。

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第8回 パラダイムシフト
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この時、学んだもうひとつのことは、できないと思っているからできないのであって、やればできるということでした。実際、この後7年間ボート部のコーチをしたのですが、4回準決勝にいっています。その内、2回は部員が足りなくて、エントリーしていないので、勝率は80%なわけです。

なぜ、できないと思い込んでいたのでしょうか?

地方の国立大学なので、運動エリートではいません。どうせやっても駄目だと思っていたのではないかと思います。でも、一度突破してしまえば、あの人にできたのだから、自分たちにだってできると思ったということだったのではないでしょうか。

学習において最も重要なのは、このやればできるという体験をいかに積み重ねるかではないでしょうか?

やればできるという体験はいったいどんなものなのでしょうか?

私が最も衝撃を受けたのはReuven Feuerstein認知構造変容理論でした。詳しくは「このままでいい」なんていわないで!という本に書かれています。

この認知構造をつくってゆくプロセスがが媒介学習体験になります。

Feuersteinはイスラエル建国の際に、世界中から集まってきたユダヤ人の子ども(特に孤児)の知能の発達の遅れがあることから、人間の認知構造の発達には、大人の体系的な介入が必要であることを発見しました。意味の媒介において文化の継承が重要であることがわかってきました。

文化を奪われると生きる意味を感じにくくなり、発達障害や自殺が増えるということがわかってきています。そういう意味で、教育、特に家庭教育は非常に重要なのです。今日、日本において自殺が多いことと教育の荒廃は関係があるのではないかと思います。

残念ながら、日本でFeuersteinについて知っている人は少ないようです。もっと知られて良いと思います。

私にとって、この認知構造変容理論および手段としての媒介学習体験は大きなブレークスルーになりました。何がかというとこれは「相手の立場に立つ」ということの重要性を違う角度から説明しているからです。

反転学習において、生徒同士が教えあうということの価値は、「相手の立場に立つ」体験になるからだと私は思っています。大人の庇護なくしては3日と生き延びることができない、無力な存在として生まれることによって持つ多くの思い込みを書き換え、他者を力で支配するのではなく協力しあって価値を創りだすためには、どうしても「相手の立場に立つ」ことが必要なのです。

人がある行動をとるのは、その人なりの真実があって、その世界観(パラダイム)を理解することで、その人がなぜその行動をしているのかがわかります。その上で、その前提になっている世界観が単なる思い込みであることを発見できるからです。

そして、私の中で、時間をかけて、認知方略である「アナロジー(似たもの探し)」「カテゴリー(くくって名づける=概念・コンセプト)」「マクロ−ミクロ(地図=モデル化)」「プログレッション(道順)と知識創造の方法論(デザイン思考)の観察→概念化→モデル化→実践化がつながって来ました。

 

次は、第9回 対話の場づくりです。

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