第9回 対話の場づくり

元旦から始まった自分の学習観のルーツを辿る試み

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前回、第8回 パラダイムシフトでは、人がある行動をとるのは、その人なりの真実があって、その世界観(パラダイム)を理解することで、その人がなぜその行動をしているのかがわかります。今回はその前提になっている世界観が単なる思い込みであることを発見する対話の場づくりについて書きます。

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第9回 対話の場づくり
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対話(Dialogue)というとどんなことをイメージするでしょうか?

議論(Discussion)、会話(Conversation)と何が違うのでしょうか?

手元に『手ごわい問題は対話で解決する』(アダムカヘン)『人を動かす対話の魔術』(ダニエル・ヤンケロビッチ)『対話のレッスン』(平田オリザ)などの本があります。

私は、ワールドカフェを主催する機会が多いのですが、心がけていることは『人を動かす対話の魔術』に紹介されている対話の三原則です。

『対等で』(上下関係ではなく)
『相手の立場に立ち』(自分の立場に固執しない:共感的にせっする)
『自分に思い込みがあるかも』(まずは、いったん受け入れる)

その逆を考えてみると
『相手に優位に立とうとして』
『自分の立場から主張だけして』
『批判ばかりしている』
ということになります。

両者の違いは何でしょうか?

一番は、後者は変化しないということです。
私たちが学ぶことを最も阻害するのは『思い込み』です。
自分と違う意見があるということは、もしかしたら、自分が見落としていた、気づいていない何かを発見する機会になりうるのです。

『読書会ワールドカフェ』やTEDや映画など映像を観ての『映像ワールドカフェ』は、対象となっているものは同じなので、自分のモノの見方・考え方と他者との対比をする絶好の機会になります。

同様に職場で、同じ仕事をしていても、観ているものも感じていることも違うということなのです。案外、そのことに気づいていないことが少なくありません。家族でさえ、興味も関心も違うのですから、職場ではもっと差があります。

同じものを観た後に、何に着目して、どう感じたのかを語り合うことは、自分を知り、相手を知る大変貴重な機会です。相手に貢献することが仕事なわけですから、相手を知らなければ貢献することもできません。知ることなく何かをしていたとしたら、独りよがりですし、うまくいくかどうかに関与していないということになります。それでは、他者と喜び合い充実感や達成感をえることは難しいですよね。

この『読書会ワールドカフェ』『映像ワールドカフェ』って、そのまま反転学習なのです。学校の文脈では、教科を学ぶことに重点がおかれていると思いますが、私にとっては、『他者の視点から世界を観る』ことを学ぶ効果も得られる絶好の方法だと思います。

生きる力は結局、自分で学ぶ力と他者と協力しあって成し遂げることの両方から成り立っていると思うのですが、既存の方法では他者と協力しあうために必要な、相手の立場に立つ力は鍛えられません。

人はそれぞれ違うのです。違う人同士が協力しあうことで、さらなる多様性が生まれます。自分とは何か、どう貢献するのかは就職活動の段階になって、自己分析するようなことではなく、生きている間じゅうずっと付いて回ることです。それは他者との対比なくしてはわからないものです。

優劣を競うためではなく、自分を知り他者を知るために『対比』をすることを学ぶことは、もっとも高い優先順位を与えて良いのではないかと私は考えています。

カエサルも何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、自らの考えに忠実に生きることである。だから、他の人々も、そうあって当然と思っていると述べています。他者と協力して生きてゆくために、他者を知り、自分を知ることは有効だと考えます。

 

『「みんなの意見」は案外正しい』(ジェームズ・スロウィッキー)では、集団は『多様性、独立性、分散性』が担保されていれば、複数の選択肢の中から正しいものを選ぶ能力に優れている事例をを提示して、民主主義の優位性を主張しています。

 

次は、第10回 自己との対話

です。

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