第19回TTPS研究会
今回は25名を超える参加をいただけるようです。
小野さんが大勢の方に声かけをくださいました。
今回の参加者には
ダイヤモンドメディア株式会社の武井社長やボルボップさんなどホラクラシー経営に取り組まれている方が新しく参加されます。
ホラクラシーはザッポスが導入・実践をしていることで知られるようになった言葉ですが、
「人間性経営」「非管理型経営」あるいは「フロー経営」などとも呼ばれ
働いている社員に創造性を発揮してもらうことが
社員の人間性を尊重することにもなり
従業員満足の向上から、
社員の定着が高まることによって暗黙知も蓄積され
お客様にも感動レベルのサービスが可能になり、
評判が高まることによって
働く人の誇りやブランドになってゆくという
好循環をつくりだします
コンサル会社のような、少数精鋭の意欲も知力も高い全体が見える、経営者とも近い組織でならできても
店舗展開を急速に進めていて、平凡な人が入るような場でも、それができるのかというのが中尾さんのSUUMOカウンターでの取り組みです。
最初は平凡な人が、ある「組織風土」にいるうちに、創造的な仕事ができるチームメンバーになってしまう
誰でも、『やればできるようになる』
できないのはやってないだけということを
証明するために皆さんの衆知を集められればと考えています。
反転学習(Flipped Learning)とは学習者中心の参加型学び合い
JMoocの設立総会に参加したことをきっかけに、反転学習についての興味が高まり、知るにつれてこれは今まで取り組んで来たことだということを再確認しました。
つまり、反転学習(Flipped Learning)は再生可能エネルギーの流れと同じく、TOPダウンの巨大な管理組織から自律分散型の参加型の小規模集団への回帰なのです。
facebookの反転授業の研究グループを主催する田原さんのHPでは
Flipped Classroom(反転授業)とは、最初にE-Learningで知識をインプットし、その後、教室のアクティビティで知識をアウトプットする学習法である。
とありますが、e-Learning自体は以前からありました。CourseraなどのMoocは何が違っているのでしょうか?
「MOOCは世界を変える」――米コーセラ共同CEOコーラー氏に聞く:日経ビジネスオンライン.
違いは、最高の内容(英語ですが)が、無料で提供されるということとオンラインでの学び合いの仕掛けやオフサイトでのミーティングを推奨していることです。とはいえ、ネットにつながる環境にいなければいけないし、学習意欲が高くなければいけません。実際、井上さんが参加されたスタートアップマネジメントのクラスは1万2000名いた受講者で修了できたのは800人なのだそうです。
反転学習の本質は、生徒中心の参加型学習であることだと考えています。
これまでは先生がいかに教えるかということが中心でした。
それが生徒がいかに学ぶかに移行しつつあるのです。
その背景には、工業社会から情報社会に移行することによって、主体性や創造性の重要性が高まったことがあります。
生徒中心を実現するのは、自律自習と学び合いです。
すなわち、自ら発見し、(先行事例を)確認し、語り合い、実践し、振り返って、語り合うというプロセスです。
学びを強制されなければ、人は自然と学ぼうとするのです。
自分の中から、これを学ぼうという欲求が湧いてくるのを待つのです。
ですが、日本では、待てずに先回りして余計な世話を焼いてしまい、自分で発見することを邪魔してしまうのです。
オランダのイエナプランでは子供たち中心の学び合いの場が実現しています。
子供たちはルールを必要としないくらい、
価値観と目標を理解して、必要な行動を自分で考えて行動できるからこそ
内発的動機によって、主体性と創造性を発揮できる。
結果的に日本より学力が高く、国民一人当たりの労働生産性は日本より約1.5倍高くなっているそうです。
企業で主体性や創造性を求めても、企業自身はあいかわらずトップダウンが多く、働く人の主体性や創造性といった人間力よりも、言われたことを着実にこなす道具力を求める管理を続けています。
公教育もまだ変わりきれていません。
希望はあります。Moocの流れは、コンテンツは無料です。
塾の代わりに、自分たちでスタディグループをつくれば良いのです。
学ぶ理念をつくり、どんな世界を実現したいのか語り合い
そのために、必要なことを学び合うこと。
行政がなんとかしてくれるのでもなければ、
お金を出してサービスを買うのでもなく、
自分たちで学びの場をつくり出すのです。
その成果が卓越していれば、そのやり方を真似るところが現れるでしょう。
自分たちだけが良ければと考えず、公共善に向かうのであれば、
真似をする人は敵ではなく、仲間です。
お互いに、より良い成果を発表しあい、学び合い高まってゆければ
世界平和だって実現できるかもしれません。
世界から貧困や紛争を無くすこともできるかもしれません。
Courseraについてのレポート
BEAT Seminar FIANL, Coursera社Daphne Koller氏講演メモ書き
遠い夢と近い目標と
「あの舞台に立ちたいです」
自らの決意は強いですね。
私自身も1年生の時に全日本に参加させていただいて、このままでは終わらないぞと強く思ったことが、すべてのスタートでした。誰かにそうした方が良いと言われたのではなく、自分がそう誓ったのです。どんな動機で始まったにせよ、そう決意をした瞬間から世界が変わります。
ただ、それは遠すぎると意欲が続かないので、手の届く目標も必要です。
サッカーの世界には、以前からワールドカップは存在していましたが、遠すぎました。Jリーグができて、多くの子供達に身近な目標ができました。今、20代の選手は最初からワールドカップが身近な世代です。その前に選手権がある。
人が育つ組織をつくるのであれば、身近な目標から遥か彼方の夢まで、上には上がある、人生をかける甲斐があるという場、ゲームをつくることが有効です。
エスグラのみならず、居酒屋甲子園をはじめ、20近い甲子園やグランプリが立ち上がっています。
スポーツはもともとイギリスにおいて、戦争がない時の子弟の教育手段として発達したと言われています。
物質的に豊になった今だからこそ、
仕事でさえ、道にしてしまう日本ですから、業界を超えて、組織のあり方について、やりがいについてのTTPSグランプリが必要なのだと思いを強くしました。
TTPSのグランプリをやりたい
『サロスタ』を読んで一番共感したのは、エスグラが主体性を発揮するきかけになったというところ。
人が創造性を存分に発揮するためには、危機感や脅迫からではなく、内発的動機である必要があります。
他者が介入することで、行為を強制することはできても、創造は精神で先行してなされるわけなので、強制することができません。
天才が次々と生まれてくる場には、甲子園やワールドカップ、舞台など目指す頂点があります。
事例共有でも、同じように「そんなにスゴイ創造的な組織ができたのか・・・」という『協力と競争による共創』を起こしたい。
今回の偽装問題のようなことが起きると規制が行われます。そうするとそれを執行するための官僚機構が必要になります。そのためのコストを負担するために、税負担が増えます。
現状でも
所得税1000万円だと33%、500万円だと20%。社会保険料は一律で16%。
10,000,000×33%-1,536,000(控除額)=1,76万4,000円 10,000,000×16%(半分は企業が負担する)160万円
支出には消費税がかかりますので、20%を貯金するとしたら、
1000万円−(176万4000円+80万円)−200万円(貯金)の5%は38万円でざっと300万円くらい負担しています。
消費税が10%になれば、さらに38万円増えますね。頑張っても、結構負担が大きいとしたら、そこそこで良いやと思ってしまいます。できるだけ、自治で進めて、官僚機構を必要としない運営をするためには、構成員一人ひとりの規律や創意工夫が欠かせません。
こんな理屈を言っても、ほとんどの人は関心をもちませんから、単純にその方が愉しい、オモシロイという状況をつくる必要があります。それをするのが、この甲子園システムだと思うのです。
GoodからGreatに飛躍するために
GoogleのChade Meng Tan氏はの中で、1冊だけお薦めするとしたらビジョナリーカンパニー2を選ぶと書かれていますが、私も激しく同意します。惜しいのはこの書名だと原題の『Good to Great』のニュアンスが伝わらないことです。
今の日本の苦境はここにあると思います。そこそこで、満足してしまって、どうなるかわからない不確実で、苦しいけれど愉しいということに挑戦する人が減っているからです。この状況を変えるかもしれないのが『グランプリ』『甲子園』です。サロスタの核心はエスグラにあると思っています。新人ながら、「社長あの舞台に立ちたいです」と自ら目標設定をするところから、快進撃が始まります。ライバルたちがいることで、全力が引き出されてきます。
私の好きな、に、宝塚やサイトウ・キネン・オーケストラ、将励会、トキワ荘、スター誕生、週刊マンガ、アヤックスなどが紹介されています。どれも、実力主義で支配者のいない、民主的なシステムです。結果によって選抜されて、えこ贔屓の余地が無い。
絶対的に目指す頂点がなければ、力を引き出されることはありません。リクルートの場合も大勢の前で舞台の上に立つ表彰の場があり、あそこに立ちたいと思わされるものがあります。一度でも立ってしまえば、何度でも上がりたくなるものです。
傍楽く人の力を引き出すためには、甲子園づくりが有効だと考えます。
社会イノベーター公志園
居酒屋甲子園
歯科甲子園
ドリームプラン・プレゼンテーション(ドリプラ)
今後の取り組み予定
12月はセムラーの『奇跡の経営』を題材に
経営がコントロールを手放し、セルフマネジメントで、「直観」をもとに変革を進めてゆく経営の勉強会
1月はセムラーと同じく社員参加型でセルフマネジメントで経営をしている広島にあるメガネの会社の21について
「会社にお金を残さない」を題材に働いている人が幸せになる経営について勉強会
2月か3月にはトゥーワンに会社訪問。
会社訪問の際には、地域をまたいだ交流会を。それまでには、ある程度、自社内でのTTPS(事例による反転学習)
現地訪問しない月に
ビジョナリーカンパニー2(Good to Great)で
田坂先生にご登壇いただいて参加型民主主義の勉強会
6月くらいにブラジルにセムラーに訪問できればと妄想しています。
(ちなみに、ワールドカップは6月12日〜7月13日です)
・階層組織がなく、公式の組織図が存在しない
・ビジネスプランもなければ企業戦略、短期計画、長期計画といったものがない
・会社のゴールやミッションステートメント(企業理念)、長期予算がない
・決まったCEOが不在ということもよくある
・副社長やCIO、COOがいない ・標準作業を定めていなければ業務フローもない
・人事部がない ・キャリアプラン、職務記述書、雇用契約書がない
・誰もレポートや経費の承認をする人がいない ・作業員を監視・監督していない
TTPSとは何か?
目指すところは、セムラーやトゥーワンのような、最小限の管理機構で自律自働の参加型で民主的な集合天才の組織を事例を使ったFlipped Learningで実現することです。
ベースは中尾社長がスーモカウンターという事業を 5年で売上15倍、店舗数6倍、従業員数2.5倍、 一人あたり生産性を5倍にしたTTPSという仕組みです。
天才的な人に依存するのではなく、普通の人が持てる力を振り絞って協力しあうことで、とてつもない価値を実現できると信じられることは、究極的な希望ではないでしょうか?
もし、生まれや天賦の才能で大方が決まってしまうのであれば、私たちの幸せはいかに天才に気に入られるか、安定した組織に採用されるか、あるいは、宝くじがあたるかになってしまい、最初から子供の成長を楽しみにする余生のような人生になってしまいます。
TTPSの要が、事例の共有です。お客様の潜在的な欲求にどのようにして気づいたのか、どうやってお客様に喜んでいただいたのかを共有し続ければ、TOPが方向を示さなくても、最も顧客価値が高まる方へ高まる方へと自然に進んでゆくからです。
自社の都合ではなく、顧客価値が実現される方に向かうためには、相手の立場から状況を観て、自ら気づくという知識創造やデザイン思考と言われるアプローチが有効です。顧客がおかれた状況に入り込んで観察し気づいた仮説からプロトタイプをつくり、顧客と対話を重ねます。自分たちと顧客が共通の目的・価値に向かって一緒に参加しあいます。
TTPSは徹底的にパクって進化をさせるの略です。リクルートの中で、事例を参考にすることをTTPするといいます。
模倣の経営学の中でも、学びはまねぶから来ており、模倣は学習の基本であるはずなのに、ビジネスで敬遠されるのはなぜだろうかと投げかけています。リクルートでは、真似して上手くやっておいてでは、動いてもらえなくてもTTPしてというとネガティブなニュアンスを与えないようです。
創造的に模倣するためには、事例をつかったFlipped Learningが効果的です。Flipped Learning一方通行の講義ではなく、映像やテキストで先に学習をしておいて、仮説をもって参加し教えあい、学び合う場をつくる学習方法です。これは参加型で民主的な学習方法だといえます。
そして、なかなか機能しない、独裁(TOPが一人で決める)でも、多数決(多数派工作をすれば何でもまかり通る・いつまでも決まらない)でもない、意思決定の方法を模索します。セムラーや21は直観による決定を推奨しています。検証された仮説を積み重ね、失敗を恐れない挑戦が推奨されるポジティブな場になるほど、直観がより良く働くようになります。
TTPSはビジョナリーカンパニーでいうところの『たくさんのものを試していいものを残す』の具体的実践でもあります。誰かが試してうまくいったものを他の人が模倣してさらにより良いものにしてゆくことです。学会では、出典を明記して引用することで、巨人の肩の上に乗って(先行研究を踏み台にして前に進めて)いきます。科学において重要なのは再現性です。他の人が追試験をして、同じ結果がでるように実験状況を書く必要があります。より多く引用され、追試験を受けた論文が優れた論文だということです。その論文を書いた人がリーダーになります。そして、それを既得権化させることなく、最も引用される人にリーダーの座が移ってゆくと風通しの良い組織になります。
100人の組織でも、毎日1つ仮説を検証すれば年間2万4000もの仮説が検証されます。
これは、民主的なシステムです。
そのためには、仮説検証の習慣づけが必要です。一旦、軌道に乗れば、事例が進化するマニュアルになって、新しいアイディアが次々と生まれてくる場になります。検証された仮説の共有による全体像が描くことができる循環に入れば、組織全体が生き物のように変化してゆきます。しかし、仮説・検証・発信の習慣づけはそう簡単にはいかないのです。
好循環に到るまでの時間を創意工夫を積み重ねられるのは、何よりも内発的動機である必要があります。工場労働であれば、納得していなくても行動を強制してある程度結果をあげさせることができます。しかし、創造性を発揮させることはできません。人の主体性や創造性が必要になる今日の組織において、指示や強制は害になります。
そこで、甲子園・グランプリシステムです。
舞台の上に立って脚光を浴びることには強烈な魅力があります。
フルーツルーツルーツの事例のように『社長、私たちもあの舞台に立ちたいです』という自らの動機があれば、いつ結果がでるのかわからない状況でも、信頼できる仲間がいれば乗り越えてゆけます。
凡庸に甘んずるのは耐えられたいという社内のTOPの人間に、上には上がいる、あいつに認められたい、勝ちたいという欲求を満たすために、周囲の人々を巻き込まざるをえない状況をつくります。
一人ではなく、「仲間と一緒に勝つのも気持ちいいな」と感じる人が増えれば、再度日本全体が活気づくのではないでしょうか。
整理するとTTPS学会は、
最小限の管理機構で自律自働の参加型で民主的な集合天才の組織を
顧客の立場から仮説検証を積み重ねて価値を創り出すデザイン思考
共通の理念・ビジョンの実現のために全員が協力しあって持てる力を出し切るFlowやGamification
民主的なプロセスと直観による意思決定のバランス
これまでの常識・習慣を覆すパラダイムシフトを起こす媒介
最幸を目指さずにはいられないグランプリシステム
失敗を恐れず挑戦するポジティブな場を自らつくる
ことを事例を使ったFlipped LearningでTTPSすることで実現できるのではないかという仮説を検証する学会です。